🚨“硯（すずり）で副業できる”は本当か？

2025年10月22日 2025年10月21日

やまと

こんにちは、やまとです。
私は32歳の会社員で、営業職をしています。
早朝ランニングが日課で、コツコツ続けるのが得意なタイプです。

副業では何度も失敗してきましたが

その経験を糧に「地に足のついた稼ぎ方」を追求しています。

そんな私のSNSに、最近よく流れてくるのが――

「文化を守る活動で在宅収入！」
「硯を買って保有するだけでお金が増える！」

という広告です。

最初は“怪しい”と感じながらも

営業マンの性（さが）として「どういう仕組みで儲かるのか？」が気になって調べました。

すると、そこには見た目の美しさとは裏腹に

巧妙に設計された投資詐欺の構造が隠れていたのです。

硯（すずり）を使った副業・投資案件は、ここ1〜2年で急増しています。
仕組みを簡単に説明すると、こんな流れです。

高級硯を「価値が上がる文化資産」として販売（1個20万〜80万円）
「今後、海外富裕層の需要が拡大」と説明
会員登録すれば「転売サポート」や「再販売制度」が利用可能
さらに「紹介報酬制度」で収入を得られる仕組み

要するに、“文化投資”の名を借りた連鎖型の資金回収ビジネスです。

しかも、サイトやパンフレットは非常に上品で、書道家や文化人の推薦文まで掲載されています。
営業の私が見ても、「信頼を演出するデザイン」にかなり力を入れているのが分かります。

私が特に興味を持ったのは、“なぜ硯なのか？”という点です。
これには、販売側の明確な狙いがありました。

1. 価値が曖昧で価格設定が自由

硯は美術品扱いで、明確な市場価格がありません。
「希少石を使用」「著名な職人の作」と言えば、どんな価格でも成立してしまいます。
つまり、売り手が自由に利益率を設定できる商材なのです。

2. 高齢層・主婦層に刺さる“文化的な安心感”

硯＝知的・伝統・高尚というイメージがあります。
「在宅でできる」「日本文化に貢献」というフレーズで、
年配者や女性の警戒心を下げやすい。
ここにも、心理マーケティングの設計が感じられます。

3. 金融法の抜け道を突いている

硯は金融商品ではなく“工芸品”。
そのため、金融庁の許可も登録も不要。
つまり、「詐欺まがい」でも形式上は合法に見せられるのです。

このビジネスで頻繁に登場するのが「松本悠里」という人物。
SNSでは、こんな言葉が並んでいます。

「在宅で家事の合間にできる新しい文化副業」
「私も最初は不安だったけど、今では自分のペースで収入を得ています」

一見すると普通の女性インフルエンサー。
でも調べると、同じ顔・同じ文章を使ったアカウントが複数存在。

つまり、マーケティング用に作られた“架空人物”の可能性が高いのです。

営業経験上、こうした「人格マーケティング」は非常に効果的。
人は“仕組み”よりも“共感できる人”を信じるからです。

いわば、松本悠里は「信頼の入口」として機能する仕掛けなのです。

営業マンとして働いてきた私から見ても、この詐欺は緻密です。

【1】不安と希望を同時に刺激する

広告では「年金不安」「老後資金不足」といったネガティブな要素を提示し、
すぐに「在宅で解決できる」という希望を見せる。
人は不安を提示されたあとに希望を見せられると、冷静さを失います。

【2】“行動のハードルを下げる”設計

「まずは無料登録だけ」「資料を見るだけ」と段階的に進む導線。
最初のハードルを下げ、信頼ができた段階で高額商品を提案。
この手法はステップ型営業（ファネルマーケティング）の応用です。

【3】「文化を守る活動」という大義名分

硯を買う行為を「文化支援」と置き換えることで、
罪悪感を消し、むしろ“良いことをしている自分”という錯覚を与える。

これこそ、最も厄介な倫理的トラップです。

ここで資金構造を営業目線で整理してみます。

1️⃣ 販売会社が硯を高額販売
2️⃣ 購入者を「会員」として登録（登録料・維持費あり）
3️⃣ 会員が新しい会員を紹介すると報酬発生
4️⃣ 会員数が伸びなくなると報酬停止

つまり、実際の収益は「硯」ではなく「会員拡大」。
本質的には、マルチ商法の文化版です。

しかも販売会社の登記先はシェアオフィスやバーチャル住所が多く
運営責任者の実名も曖昧。

これでは、消費者庁に訴えても“逃げられる”仕組みが整っています。

硯ビジネスの運営者たちは、「詐欺ではない」と主張します。
なぜなら――

商品（硯）は実際に届く
契約書も存在する
“自分で同意して買った”形を取っている

つまり、被害者が「自ら選んだ」と錯覚する設計なのです。

結果、泣き寝入りする人が多く、実際に被害報告をしても
「販売トラブル」「自己責任扱い」で片付けられてしまう。

営業職をしていると、数字の世界に生きている感覚になります。
でも、副業を通じて気づいたのは――

「楽して稼げる」は、誰かが“苦労して設計した仕掛け”の上に成り立っている。

硯副業のように、“努力不要・リスクなし”と聞こえる話ほど

裏には巧妙な構造があります。

私自身、過去に「初心者でも稼げるツール」と言われて騙された経験があります。

だからこそ言いたいのは

「理解できない副業には、絶対に手を出すな」ということです。

硯副業は、上品な広告デザインや“伝統”という言葉で包まれたマネーゲームです。

硯の価値を誇張して高額販売
松本悠里という架空人物で信頼を演出
会員紹介制度で資金を循環させる

文化・芸術を盾にする詐欺は、一見静かで、だからこそ危険です。

SNSが普及した今、誰でも騙される時代。
「情報の見極め力」こそが、現代の営業力だと私は思います。

“知っているだけで防げる詐欺がある”
“疑うことも、立派な自己防衛だ”

これを読んでくださった方が、
同じような被害に遭わず、自分の力で副収入を築いていけることを願っています。

✍️ 執筆：やまと

「小さくても動くこと。理解して行動すること。
それが唯一、遠回りを減らす“真の副業力”です。」

この記事を書いた人

やまと